ノーベル文学賞作家川端康成氏の宮崎訪問50周年を記念いたしまして、当時、宮崎交通㈱の広報宣伝課長として、17日間にわたり川端康成氏の取材に同行し、宮崎の人や風土の美しさやあたたかさを伝えた渡邊綱纜先生による講演会を、下記のとおり開催します。
ノーベル文学賞作家川端康成氏の宮崎訪問50周年を記念いたしまして、当時、宮崎交通㈱の広報宣伝課長として、17日間にわたり川端康成氏の取材に同行し、宮崎の人や風土の美しさやあたたかさを伝えた渡邊綱纜先生による講演会を、下記のとおり開催します。
「成年後見制度における地域ネットワークの構築に向けて」
昨年度、宮崎県内にて市民後見事業が始まり、本セミナーにおいても、これからの成年後見を展望しました。
今年度は、市民後見事業も2年目を迎え、本県の「市民後見人」第1号も目の前です。このように現実の運用が差し迫った状況となる中、成年後見制度について、現実的な課題を各方面で共有し、いま一歩検討を加える必要があるのではないでしょうか。今回は、成年後見制度そのものが、法的レヴェルの問題と福祉的レヴェルの問題とが混在するという難しい面を直視し、「見守り」という現場での対応をめぐる課題を中心に検討を加えたいと考えております。
第1部では、「認知症高齢者が地域で暮らすために~認知症者の徘徊に伴う鉄道事故の判決について」と題し、認知症患者が鉄道事故に遭い、監督責任(「見守り」の責任)の所在が問題となった事件を例にとり、法的な面からわれわれに求められる責任について考えます。
第2部では、地域としての「見守り」のあり方について、パネルディスカッションを行います。これからの超高齢社会を支える介護のキーワードは「介護の社会化」にあったはずです。介護に24時間の見守りが必要であるとすれば、家族という少人数単位の担い手だけでは負担が大きく、困難であるという現実があり、成年後見制度がセーフティー・ネットの一つであるということを考えるならば、社会としての責任の所在をどうすべきかを問うよりも、成年後見制度地域の支援ネットワークの構築により積極的に取り組んで行くことが必要と思われます。いわば、地域としての「見守り」のあり方が問われているのではないでしょうか。そこで、成年後見制度に関連した地域ネットワークの構築に取り組まれている関係各所の方々をパネリストとしてお迎えして現場での苦労を踏まえたお話をお聴きし、地域の支援ネットワークの構築のために、何を考え、どう行動するべきかを共有したいと考えています。
パネリストの発言だけでなく、参加者との質疑応答を交えて、展開していく予定です。
期日 : 2014年11月22日(土)
場所 : 宮崎産業経営大学5号館2階5202教室
時間 : 13:00~17:00(開場12:30)
●基調講演(13:10~14:00)
「認知症高齢者が地域で暮らすために ~認知症者の徘徊に伴う鉄道事故の判決について」
〈講演者〉廣田 久美子(宮崎産業経営大学法学部准教授)
●パネルディスカッション(14:10~16:50)
「地域社会に求められる『見守り』と成年後見をめぐるセーフティーネット」
〈パネリスト〉
森山 つや子(小松台地区福祉協力員)
井野 三男(宮崎市地区社会福祉協議会会長会会長)
矢方 幸(生目台地区社会福祉協議会会長)
古川 拓矢(赤江北地区地域包括支援センター管理者)
川﨑 紀代子(市社協地域福祉課係長)
図師 大介(豊中市市役所職員)
〈コーディネーター〉
村田 治彦(宮崎産業経営大学法学部准教授)
〈主催〉
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート宮崎県支部
社会福祉法人宮崎県福祉協議会
リーガル・プランナー宮崎産業経営大学
こちらの参加申込書にご記入いただき、下記お問合せ先のFAXやEmail宛にお申込みください。
※申込期限は11月14日(金)となります。
事前に参加申込いただければ幸いです。
宮崎産業経営大学法学部 リーガル・プランナー宮崎産業経営大学
〒880-0931 宮崎市古城町丸尾100番地
TEL : 0985-52-3111
FAX : 0985-51-0859
Email : legal_planner◆po.miyasankei-u.ac.jp
※メール送信の際は、◆を@に置き換えてください。
10月18日(土)に本学法学部では,「古事記・日本書紀編さん1300年記念関連 公開講座」を開催いたしました。『古事記』・『日本書紀』をテーマとした公開講座は昨年にも実施いたしましたが,本年は宮崎県の事業として展開されている「神話のふるさと県民大学」とタイアップし,県内を中心に80名を超える方々にご来場いただきました。
本年は,この分野において大変ご高名な2名の先生方にお越しいただいての講座開催となりました。
まず,渡部育子先生(秋田大学教育文化学部教授)から「母娘天皇とその時代―『古事記』『日本書紀』を完成させた元明天皇・元正天皇―」という題でご講演をいただきました。
講演では、母元明天皇と娘元正天皇の二代にわたる女帝の生涯とその治世について、当時の激動する東アジア情勢を背景に、詳しくお話しいただきました。古代には「女帝」が法律用語であり、女帝の子に皇位継承資格が認められていたこと、そして女性の活躍なしには古代国家が運営できなかったことなどについても触れられました。
次に,瀬間正之先生(上智大学文学部教授)から「日向三代と『古事記』垂仁天皇条の連関」という題でご講演をいただきました。
『古事記』の日向三代の箇所に書かれているイワナガヒメを返す話やコノハナサクヤヒメの火中出生譚について、同じ型の物語が『古事記』垂仁天皇の箇所にも見られること、これらが漢文訳された仏教経典、なかでも南朝・梁の時代に成立した『経律異相』を座右に置いて書かれた文章であることなど、『古事記』執筆の実態について、具体例を示して説明されました。
いずれも貴重なお話をいただき,参加者の皆さんも大変熱心に耳を傾けておられました。
当日ご来場いただいた皆様に篤く御礼を申し上げます。今後も,本学では地域のニーズに合った様々な学びの機会を提供したいと考えております。どうぞご期待ください。
法学部准教授 福本 拓
フューチャーセッション「みんなが暮らしやすい「超高齢社会」の未来」参加者募集
文科省事業「免許更新制高度化のための調査研究事業」プロジェクトチームは、これまで都城商業高校で2回のフューチャーセッション、夏に教員向け免許更新制度を実施してきました。今回のフューチャーセッションでは、これまでの事業を踏まえて、市民参加型のオープンな形式で実施致します。
2020年、宮崎県は3人に1人が高齢者となり、超高齢社会がより深刻になっていきます。既に、専門家からは高齢者が暮らしにくさの実感を抱き、同時に超高齢化が社会の閉塞感を生み、若者・子育て世代の暮らしにくさにも影響を与えていると指摘されています。このまま2020年の超高齢社会はみんなが暮らしにくい社会になっていくのでしょうか?
今回のフューチャーセッションでは、みんなが共有したくなる超高齢社会の未来シナリオを考えたいと思います。高齢社会に関心のある人はもちろん、若い人(学生)たち、地域の方々、お年寄りの皆さん、教育関係者の方のご参加をお待ちしております。
対象者 : | 超高齢社会の未来に関心のある方々(高校生・大学生、地域の方々、お年寄り、教育関係者など) |
定 員 : | 80名 |
日 時 : | 11月30日(日) 12:30-15:30 |
場 所 : | KITENビル8階中会議場(宮崎県宮崎市錦町1-10) |
参加方法 : | お名前、連絡先を記入の上、次のアドレスまでお送りください。 mideyama■gmail.com(■を@に換えてください。経営学部・出山宛て) |
コーディネーター今出敏彦(法学部准教授)
インスピレーショントークゲスト春田久美子(弁護士)
①イントロダクション
フューチャーセッションの概要の説明と、これまで実施してきたセッション(超高齢社会について都城商業高校の生徒たちと2回開催してきました)の成果を報告します。
②インスピレーショントーク
超高齢社会の問題点や市民に求められる視点を参加者全員で共有します。専門家を招いて、現状の問題点を共有します。
③ワールドカフェ
望ましい超高齢社会とは、どのような社会でしょうか?そのために必要なきっかけ、変化とは?
④クイックプロトタイピング
ワールドカフェで生まれてきたアイディアをもとに「未来シナリオ」を作成します。
⑤サークル
参加者全員で未来シナリオを共有します。どんな未来シナリオが生まれたでしょうか?明日からできること、未来に向けてできることを改めて考えます。
都城商業高校における2回のフューチャーセッションの様子は下記をご覧ください。
第1回→http://www.miyasankei-u.ac.jp/2014-07-09/3073/
第2回→http://www.miyasankei-u.ac.jp/2014-09-22/4101/
参加した生徒に対するアンケートから、フューチャーセッション形式の対話型授業の教育効果として「生徒は、対話型授業を経験したこと、新しいトピックについて考えたり、理解できるまで調べてみたいといった知的好奇心、新しい解決策や新しい視点を模索する創造性、周囲の人といっしょに作業をすることは有効であると感じる協同作業の効用ともに、すべての尺度において、自分は成長したと感じていること」が分かりました。これらの教育効果は、次代を担う人材育成の方法として、多くの教育関係者と共有していきたいと思います。
主催:「免許更新制高度化のための調査研究事業」プロジェクトチーム
去る平成26年10月10日(金)~10月13日(月),宮崎県商工会議所連合会主催「宮崎・シンガポール経済交流訪問団」への参加のため,シンガポールへ海外出張してきました。「宮崎・シンガポール経済交流訪問団」については,10/18(土)17:00~「MRTニュースサタデーNEXT」の特集として報道されましたので,ご覧になられた方もいらっしゃることと思います。
「宮崎・シンガポール経済交流訪問団」派遣の背景としては,近年シンガポールが「アジアのハブ」としての地位を確立し,国家戦略としてカジノを中心とした統合型リゾート(Integrated Resort,略称IR)の開発を中心に急速な経済発展を遂げていることです。本訪問団の派遣は,これらのシンガポールの活力を宮崎に取り込み経済発展に資するため,シンガポールとの友好親善と経済交流の促進を図ることを目的として実施されました。
本訪問団は,宮崎県商工会議所連合会会頭「米良充典様」を団長として構成団体「宮崎県農業協同組合中央会」「宮崎県経営者協会」「宮崎経済同友会」「宮崎県工業会」「宮崎県建設業協会」「宮崎県」「宮崎市」等々宮崎県の主要な経済団体と行政組織,宮崎県議会議員,宮崎市議会議員,および宮崎県内主要企業の経営者の方々が参加され,参加総数が100名を超える大規模派遣となりました。
本訪問団への参加につきましては,ご推薦をいただきました大村昌弘学長,法学部の立川淳一教授,および丁寧な海外出張手続きのご指導と事務作業のご対応いただきました総務課の谷口美穂課長をはじめ関係職員の皆様方に篤く御礼申し上げる次第です。
本訪問団への参加ご報告については,下記の通り1.訪問日程・訪問先,2.写真集,3.総括を記載しております。
記
○訪問日程: 平成26年10月10日(金)~10月13日(月)
○訪問先:シンガポール
10月11日(土) | 都市政策の研究視察として「シンガポール・シティー・ギャラリー(Singapore City Gallery)」を訪問 |
10月12日(日) | 統合型リゾート(Integrated Resort,略称IR)の研究視察として「リゾート・ワールド・セントーサ(Resorts World Sentosa)」,および「マリーナ・ベイ・サンズ(Marina Bay Sands)」を訪問 |
写真1. 10/10(金)出発前の結団式において「宮崎・シンガポール経済交流訪問団」団長の宮崎県商工会議所連合会会頭「米良充典様」によるご挨拶の様子です(宮崎空港)。
写真2. 宮崎県から自治体国際化協会シンガポール事務所へ派遣されている所長補佐「宇佐澄子様」による講演の様子です。今日のおけるシンガポールの実情と国家戦略に関して講演いただきました(シンガポールのヨークホテル研修会場)。
写真3. シンガポール視察開始前の「全体ミーティング」での筆者です。少々旅の疲れが出ている様子です(シンガポールのヨークホテル研修会場)。
写真4.「シンガポール・シティー・ギャラリー(Singapore City Gallery)」において,現地ガイドよりシンガポールの都市開発を巡る歴史的経緯と国家戦略について説明を受けている様子です。
写真5.「シンガポール・シティー・ギャラリー」は,精緻な都市模型とIT化が進展している展示会場です。
写真6. シンガポール観光の象徴である「マーライオン(Merlion)」と,統合型リゾート(IR)の象徴である「マリーナ・ベイ・サンズ(Marina Bay Sands)」の風景です。シンガポールにおける最高の観光スポットです!
写真7. シンガポールにおける統合型リゾート(IR)の象徴である「マリーナ・ベイ・サンズ」は,3棟の高層ビルのホテルを船形空中庭園「サンズ・スカイ・パーク(Sands Sky Park)」で繋いだ壮大な建物です(最後部の高さ200m,57階建て,総構築費70億シンガポール$,営業開始2010年4月27日)。天空にそびえ立つ景観は,絶景です!
写真8. シンガポール経済の柱としては,「金融」「観光」「エンターティメント」のみならず「貿易」も重要な役割を担っております。シンガポールは,国民という人材以外ほとんど資源の無い小さな国土の都市型国家です。
シンガポールは,「金融」「観光」「エンターティメント」「貿易」を経済的基盤とした小さな国土(東京23区とほぼ同じ716.1平方キロメートル,人口540万人)の天然資源や農産物のほとんど無い都市型国家です(表1ご参照)。
表1「シンガポールのSWOT分析」
内部環境の強み(Strength)
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内部環境の弱み(Weakness)
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外部環境の機会(Opportunity)
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外部環境の脅威(Threat)
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(出所) 11/11(土)自治体国際化協会シンガポール事務所所長補佐「宇佐澄子様」講演資料より加筆作成。
しかしながら,1965年マレーシアからの分離独立後,優れたリーダー(歴代首相リー・クワンユー,ゴー・チョクトン,リー・シェンロン)の輩出としたたかな国家戦略によって国家を発展させてきました。独立以来のシンガポールのしたたかな国家戦略とは,弱みを強みへ転換させ,脅威を機会と捉えてきたことです。したたかな国家戦略の歴史的変遷としては,取り巻く内外の環境変化や国際情勢を踏まえた迅速な政策決定によって「労働集約型産業(1960年代)」「高付加価値産業(1970年代)」「サービス産業(1980年代~1990年代)」「知識集約型産業(2000年代)」「エンターティメント産業(2010年代~)」へとその経済的基盤を見事にシフトしてきたことです(表2ご参照)。
今日のシンガポールは,1人当たりのGDPがすでに2007年に日本を追い越し,ミリオネラ(Millionaire)が18%存在し,世界で最も億万長者比率の高い国家となっております。
表2「シンガポール国家戦略における基盤産業の歴史的変遷」
〔1960年代〕労働集約型産業
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〔1970年代〕高付加価値産業
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〔1980年代~1990年代〕サービス産業
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〔2000年代〕知識集約型産業
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〔2010年代〕エンターティメント産業
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*MICEとは,Meeting(会議・研修・セミナー),Incentive tour(報奨・招待旅行), Convention またはConference(大会・学会・国際会議), Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語。
(出所)大前研一〔2013〕『クオリティー国家という戦略』小学館,87頁より加筆作成。
統合型リゾート(IR)の象徴「マリーナ・ベイ・サンズ」においては,施設全体の中で3%のカジノ・フロア面積に対して,カジノが全体の収益の中で80%を稼ぎ出しております。カジノ・ビジネスは,成功した場合非常に大きな経済効果が期待できますが,負の作用として「ギャンブル依存症」やギャンブル地域の特徴である「治安の悪化」が懸念されます。シンガポールは,これら負の作用の対策に向けて「カジノ管理法(Casino Control Act)」を制定して,様々な管理体制とセーフティーネットを張り巡らせております(表3ご参照)。外国人のカジノへの入退室については,パスポートチェックを含めた厳しい管理体制がとられております。
表3 「カジノ管理法(Casino Control Act)」
1.シンガポール国民に対するカジノ入場税の徴収 |
2.排除プログラム |
3.特定地域以外でのメディア広報・プロモーション行為の禁止(広告規制) |
4.入場に関わる年齢制限(21歳以下の賭博防止) |
5.カジノ施設内への銀行ATM設置の禁止 |
6.ギャンブル依存症国民協議会(NCPG)の設置 |
(出所)11/11(土)自治体国際化協会シンガポール事務所所長補佐「宇佐澄子様」講演資料より加筆作成。
安倍総理は,『統合型リゾート(IR)は,我が国成長戦略の目玉!』と主張しており,現在宮崎県を含めて全国各地の幾つかの地方自治体がカジノを中心とした統合型リゾート(IR)の誘致に乗り出しております。昨年12月3日、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法案「IR推進法案」が議員立法として国会に提出されました。現在国会で賛否両論が議論されておりますが,我が国にも本格的にカジノを中心とした統合型リゾート(IR)の開発が進展しそうな勢いです。
しかしながら,統合型リゾート(IR)の成否に向けてはシンガポールの事例にみられるように様々なセーフティーネットと管理体制の整備が鍵を握ることになります。カジノを中心とした統合型リゾート(IR)は,開発を行えば大きな経済効果が期待できるという単純なビジネスモデルではなく,ホテルの整備や外国人観光客の受け入れ体制を含めた様々なノウハウの蓄積,および管理体制の整備が求められます。しかしながら,我が国では経済効果を中心とする議論がなされており,負の作用を巡る十分な危機管理に対する学習や検討がなされていない状況にあります。カジノの誘致には,懸念される人々の「ギャンブル依存症」や地域社会の犯罪対策を含めた「治安の悪化」に対するセーフティーネットと管理体制の整備が重要となります。我が国は,カジノ・ビジネスに関してシンガポールを含めて長い歴史をもつモナコ・ラスベガス・マカオといった世界の実情を十分に視察・研究する必要があります。加えて,我が国はバブル期において全国各地の地方自治体が行った様々な負の遺産である建造物の構築という失敗の二の舞だけは避けなければなりません。
以上
(報告者 経営学部/柚原知明)
去る10月1日、本学に宮崎地方裁判所所属の竹内大明裁判官と伊藤達也裁判官が来られ、裁判員制度について出張講義と学生との意見交換会を行いました。
裁判員制度は、施行後5年が経過しましたが、市民の間に定着したとまでは言えないのが正直なところではないでしょうか。裁判員制度をめぐる裁判も提起され、制度施行直後とは異なり、施行に伴う問題も噴出しております。このような中、裁判員になる可能性をもった学生と現役裁判官が生の交流を持つというのは、これからの日本を背負う学生にとっても、法的素養を養ういい機会になるとともに、大学で学んでいることと社会のつながりを考える機会になると言えます。今回は、宮崎地方裁判所からお話をいただき、法学部の宮田が仲介役として、現役裁判官による出張講義及び意見交換会が実施される運びとなりました。
午前の部では、大教室にて主に1年生を対象として、裁判員制度について、わかりやすい説明をしていただきました(講義の様子は、10月1日のmrt宮崎放送報道ニュースでテレビ放送されるとともに、10月2日付の朝日新聞朝刊、10月4日付の毎日新聞朝刊にも掲載されました)。
午後の部では、2・3年生を中心とした少人数を対象とし、裁判員制度について現役裁判官と学生が意見交換をしました。以下は、意見交換会に出席された学生と教員の感想です。
<意見交換会の様子>
宮田ゼミ(民法)・星ゼミ(会社法)・阿部ゼミ(憲法)・明石ゼミ(民法)・石田ゼミ(行政法)を中心に、雨宮ゼミ・立川ゼミの学生も参加し、法学部生合計30名が集まりました。
<参加した学生のコメント>
・「現役裁判官の方が気さくな感じの方でとても驚きました。裁判員制度の説明もわかりやすく、素人でも正しくしっかりと話し合いに参加できるものだとわかり、新しい発見でした。裁判員になる機会があれば、ぜひ参加してみたいです。」(雨宮ゼミ・3年学生)
・「判決後に自分の出した判決に後悔したりすることはあるのかという質問に対して、十分に吟味し考えた上で出した判決だから後悔はしないですと断言されていたのがとても印象的でした。」(雨宮ゼミ・3年学生)
・「裁判員裁判に参加した人たちの意外な感想を聞いて驚いた。一般市民が参加する裁判は、重罪のものばかりだという点も意外だった。」(雨宮ゼミ・3年学生)
・「実際に働いている裁判官の方から直接話を聞ける機会はあまりないのでよかった。裁判員に対する配慮など、裁判員制度のことを詳しく知らなかった自分にとっていい勉強になりました。判決文をどこで書くのかという質問についての回答が印象的でした。普段聞けないことを知ることができて、参加してよかった。またこのような機会を持ってほしい。」(雨宮ゼミ・3年学生)
・「凄惨な証拠写真を見るのが嫌で、自分が裁判員になったらどうしようと不安に思っていたが、裁判員経験者のアンケート結果や裁判員に対する配慮がなされていることなどを知り、自分も是非裁判員をやってみたいと思うようになった。裁判官という職業のやりがいは何かという質問に対し、判決書を完成させたときの達成感だという回答をいただいたときには、やりがいを求め努力する大切さを実感し、感銘を受けた。」(雨宮ゼミ・3年学生)
・「知らないことをいろいろ教わり、勉強になった」「意見交換会に出席して、裁判員に選ばれたらぜひ行こうという気持ちになった」(宮田ゼミ・2年学生)
・「意見交換会という形で触れたことで、自分の中で裁判員裁判への興味が深まりました。特に、死体などの証拠写真に対する(裁判員への)配慮という点には驚かされましたが、証拠に触れる機会は、裁判官と裁判員が基本的には平等だということにも驚きました。また、私が目指す進路と関わりがある話を聴くことができて、もっと勉強を頑張ろうと思いました。」(明石ゼミ・2年学生)
・「『裁判官=堅物?』多くの人が抱くイメージだが、実際はむしろ逆で、柔軟でないと務まらない職業だと感じた。様々なことを勘案しながらも筋を通す思考面、厳格さと人間味を行き来する行動面双方の柔軟性。これらはぜひ見習いたいものであり、早速、冒頭の固定観念を打破できたことが今回の収穫だった。」(大坪ナビ・1年男子学生)
<参加教員のコメント>
・「『裁判官の方々がとてもフランクにフレンドリーに接してくれたので、裁判所に対する堅苦しいイメージが変わった』と学生達には好評だった。法化社会に向けた法教育の1つの方向性が見えた気がする。」(星光教授)
・「国民の司法参加について、実務家の方の意見を聞くことで具体的な場面を想像しながら考えることができました。学生も、裁判員裁判についてさらに興味をもつと期待しています。」(阿部純子准教授)
・「裁判員という身近なようで身近に感じにくい制度について、教員が教えることのできない現実をご講義下さり、学生だけでなく我々教員にとっても有意義なものでした。」(明石真昭専任講師)
・「今回の意見交換会を経て、学生からは、『実際の裁判をみてみたい』、『裁判員制度に対する抵抗が減った』との感想がありました。裁判官の方と触れ合う機会はなかなかないため、非常に貴重な経験ができたと思います。(石田若菜専任講師)
アベノミクスは法人税減税に見られるように、成長のけん引力(トップガン)として大都市・大工業を優先する一方で、地方の農業については、TPP参加とJAの在り方の両面から厳しい改革を迫っています。とりわけ、TPP交渉では、関税制度が維持されても、関税の壁自体は大幅低下になるのではないかと危惧されており、畜産・養豚をはじめとする県内農業が大きな打撃を蒙る事は避けられません。
世界では、既に、90億人(2050年予想人口)の胃袋を満たすための競争が始まっているにもかかわらず、日本の農業は、担い手の高齢化・耕作放棄地の面積拡大など構造的問題を抱えたままであり、守りの自給率の点でも、攻めの生産力・生産性の点でも、心もとない状況が続いています。
食と農をめぐる問題は、21世紀最大の課題の一つとなった今、備えは十分か、巨大マーケットを追い風にできるか早急な検討が必要です。日本の食と農は、今まさに蛻変・脱皮し進化を迫られています。
そこで有識者を交え、将来の宮崎と農業を担う若者とともに、若者にとって魅力ある農業とは何か、これからの農業の活路はどう切り開いていくのか、そして国づくりにおける農業の役割とは何かについて議論していきます。農業を基幹産業とする宮崎県から農業の将来像を全国に発信していくことは極めて大きな意義があると考えます。
事前申し込み不要で無料です。たくさんの方々のご参加をお待ちしております。
テーマ : 若者とともにTPPと宮崎の農業の将来を考える
日 時 : 平成26年11月9日(日)12時30分から
場 所 : 宮崎産業経営大学 5号館2階5202教室
出演者 : 《基調講演》 見戸康人(JA宮崎中央会専務理事)
《パネルディスカッション》
・パネリスト:角井智仁(畜産農業経営者)
菓子野利浩(宮崎県農政水産部地域農業推進課課長補佐)
長友慶徳(弁護士・農業経営アドバイザー)
田中賢一(宮崎産業経営大学経営学部准教授)
堀内愛実(宮崎産業経営大学経営学部3年)
甲斐康之(宮崎産業経営大学経営学部2年)
・コーディネーター:大村昌弘(宮崎産業経営大学学長)
・総括しめくくり:郡司 行敏(宮崎県農政水産部次長)
(主催)宮崎産業経営大学経営学部・社会科学研究所
(協賛)JA宮崎中央会
去る10月4日、本学法学部・社会科学研究所と宮崎商工会議所女性会の共催による憲法シンポジウムを本学にて開催しました。
●内 容
小金丸和代宮崎商工会議所女性会会長が開会の挨拶をいたしました。
次に、阿部純子法学部准教授が、集団的自衛権に関する争点について、基調講演をおこないました。
また、法学部3年土谷伸一君と法学部2年吉開萌さんによる集団的自衛権に関連して訪問やインタビューをおこなった諸機関に関する記録映像のスライド上映と解説を行いました。
引続いて、大村昌弘本学学長がコーディネーターとなり、浜田潤子宮崎商工会議所女性会理事、石田若菜法学部専任講師、澤田昭夫法学部教授、青木誠弘法学部専任講師、法学部3年金泉千夏さん(青木ゼミ)によるパネルディスカッションを行いました。
基調講演では、まず、国際法の観点から集団的自衛権の観念について説明が行われました。
その上で、平成26年7月1日の閣議決定による変更について考えるために、集団的自衛権の行使に関する日本政府の憲法解釈の変遷についての説明がなされました。
最後に、これからの日本の安全保障政策は、わたしたち国民が考えていかなければならない重要なテーマであることが強調されました。
パネルディスカッションは、大村学長がコーディネーターとなり、「安全保障についての対応の仕方」「国際法と憲法」及び「集団的自衛権の限定的行使容認についての憲法解釈」という3つのテーマで行われました。
「安全保障についての対応の仕方」では、抑止力を高めるべきとする立場と、戦争に巻き込まれることを警戒する立場との間でそれぞれの主張がなされました。
「国際法と憲法」では、平成26年7月1日の閣議決定を支持する立場と平和憲法を守る立場との間で議論が交わされました。
そして、「集団的自衛権の限定的行使容認についての憲法解釈」では、同日の閣議決定を支持する立場とこれに反対する立場との間で、それぞれ討論が行われました。
●参加者総数 約350名
文責 法学部 青木誠弘