学 長
大村 昌弘
神戸市生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現:経済産業省)において九州通産局長などを歴任。退官後は、経団連評議員、東京工業品取引所専務理事などを務めた。
著書に「若者漂流」「日本には二つの国がある」「気宇壮大に進化の先頭に立つ」など。
宮崎産業経営大学は「法学部」と「経営学部」を持つ「南九州で唯一の社会科学系大学」として創設され、35周年を迎えました。すでに、卒業生は1万人を超えており、多数の公務員や教員をはじめ、民間企業の幹部など幅広い分野で第一線に立って活躍しています。東証一部上場企業の社長に37歳の若さで就任した卒業生もいます。このことは本学が全国の大学に先駆けて、民間・公務員問わずに充実したキャリア教育を導入し、高い就職率に結び付けている教育の成果であるといっても過言ではありません。
そもそも法学と経営学は、「一生を通じたキャリア設計に必要な学問」であり、「くらしに直結した身近な学問」です。ヨーロッパでは、女子の方が男子より学ぶ人が多いと言われており、女子にとっても親しみやすい大切な学問です。
このように産経大は、これまでも宮崎県内で本物の法学と経営学を学べる大学として、時代の要請に即した法学・経営学を提供してきましたが、2022年度からは、更なる飛躍的な取組として、「ポストコロナのデジタル時代に呼応した学問」と「実践力を強化した学問」の提供を目指すという柱を立てました。
例えば大学のデジタル化に関しては、法・経営両学部の学生にノートパソコンを必携とし、教員とのインターアクティブな講義形式や、デジタル機器を駆使した自身のプレゼンテーション能力やデジタル・リテラシーを磨き上げる機会を提供します。まさにコロナ禍をきっかけとしたデジタル革命時代に呼応した新しい姿の人材育成を目指します。また、産経大が大学全体として取り組んでいる「アグロポリス・プロジェクト」については、2021年より「デジタル・アグロポリス」として進化させ、デジタル革命時代における「農と食」の経営高度化を軸とした新しい地域創りとして推進中ですが、この「デジタル・アグロポリス」の研究の主役はあくまでも産経大生を中心とした若者です。産経大は世界のトップリーダーのオランダと欧州連合(EU)に向けて「遣欧青年使節団」を派遣して、最先端の「農と食」×「デジタル戦略」を学べるアクティブラーニングを実践しています。
なお、海外大学との連携に関しては、「デジタル・アグロポリス」で研究提携しているオランダ国立ワーゲニンゲン大学をはじめ、アメリカのグアム大学、オーストラリアのボンド大学と連携協定を結び、学生の国際化も推進しています。また、デジタルツールを駆使した「オンライン海外留学」についても現在アレンジを進めています。
さらに、経営学部ではコース制度を大きく変革し、実践経済コースを設置します。経営者にとって必要な経済のエキスを凝縮したカリキュラム構成となっており、経済行動を心理学の観点から分析する「行動経済学」や戦略的な思考力を養うための「ゲーム理論」を通じて「使える経済学」を学ぶことができるようになります。これまでの経営学のエキスに加え、新たに実践経済学を産経大から発信していきます。
最後に本学が心がけている点を強調しておきます。それは、学生一人ひとりが持っているのに眠ったままの「潜在能力」を「伸びシロ偏差値」と名付け、大学4年間で、この伸びシロをどれだけ伸ばせるかを本学教育の物差しとしていることです。私は、入学式の挨拶では、高校までの偏差値は、入学の時点で、きっぱり忘れること、そして、今後は他人との比較ではなく、自分自身のチカラを信じ、ゼロからスタートして卒業までの4年間に「伸びシロ」を最大限に伸ばしていこうと呼びかけています。
産経大は、新しい令和の時代の中、若者とともに力強く進化を続けます。