令和3年3月1日(月曜日)、本学経営学部の柚原ゼミ、森田ゼミ、大内ゼミ、墨ゼミ、出山ゼミの合同メンバー約40名で、オンライン研究視察を実施しました。
今回のオンライン研究視察は、企業の現場で長年SDGsへの取り組みをしてきたSDGsコミュニケーターの難波裕扶子様をお招きし、「ポストコロナを生きる~あなた×SDGs~」と題して、持続可能性に関する基礎知識から最新の企業事例まで幅広くお話していただきました。難波様のお話は、自らの想いをベースに、企業での実体験やSDGsへの深い知見のもとで、学生たちに頭だけでなく心にも響く内容でした。また、質疑応答の時間では、教員や学生からの質問に、予定時間を超えて丁寧にお答えしていただきました。
難波様におかれましては、大変ご多用な中、講演の準備とご対応をいただき、篤く御礼を申し上げる次第です。
本研究視察に関しては、下記の通り、1.研究視察日時・使用ツール、2.写真、3.参加したゼミ生の感想、4.最後に、についてご報告いたします。
1.研究視察日時・使用ツール
◯研究視察日時:令和3年3月1日(月曜日)13時00分から14時45分
◯使用ツール:zoom
2.写真
写真1.ご講演いただいた難波裕扶子様
写真2.SDGsのゴール・ターゲット・指標のお話
写真3.参加した学生たちから御礼の拍手
3.参加したゼミ生の感想
兒玉雪乃(柚原ゼミ3年生)
本日はお忙しい中SDGsについてお話していただきありがとうございました。
SDGsについては、これまでの授業で取り上げられたこともあるのである程度認知していましたが、今回の講演でより詳しく知ることが出来ました。九州で選定されたSDGs未来都市に宮崎は選ばれておらず、少し残念だと感じましたが、SDGsを取り入れている企業を私たちが吟味していけなかった責任でもあると思いました。SDGsは、幅広く見ていくべきなので、人や物を大きく動かすことのできる企業が重要な役割を果たし、また企業から物を買うことのできる個人もとても重要な存在であると改めて気づけました。環境問題、労働問題、差別など、私が少しでも役に立てるようにより知識を高めていきたいです。
加藤鈴菜(森田ゼミ3年生)
本日の講演で、日本ではなかなかSDGsの取り組みが進んでいないのだと実感しました。ストローをなくすことや袋を有料化するという取り組みではこれだけで何が変わるのだという人がいたとのことでしたが、自分もその中の一人でした。ですが、自然とエコバッグを使うようになったり、袋やストロー、それ以外のプラスチックの無駄をなくすようになったりしていて意識が変わるという点に納得しました。自分たちや未来の子供たちのためにまずは自分が、そして社会が取り組んでいかなくてはいけないなと感じました。
谷元政哉(大内ゼミ2年生)
今回の講義でSDGsについての話を聞かせていただいて今「当たり前」にあるものもこの先何年かになるかわからないけれど無くなってしまうものなのだと思いました。その他にも格安で手に入れることができるチョコレートなども作られているカカオは貧困の国の人が集めて生計を立てているという裏もあることなどの状況があることを意識できるようになりました。その他にも資料であった「地球は人間が生きていけなくても大丈夫」だけど、「人間は地球がないと生きていけない」という逆のことを考えると今からでも行動していかないと手遅れになると思いました。レジ袋も購入する人からしたら頭の片隅にこのレジ袋も石油からできていると少しでも思わせることが目的と言っていましたが自分も頭の片隅に確かにあるなと思いました。確かにそういうことは遠回りしてはいるけどちゃんと成果に後々繋がっているなとこの講義を受けて思いました。今回はお忙しい中本当にありがとうございました。
緒方綾香(出山ゼミ3年生)
本日は、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。SDGsについて名前は聞いたことがある程度だったので、理解を深めるいい機会になりました。特に、SDGsの本質である「世界は繋がっている」そして「私も起点」という言葉が印象に残りました。フレーズがとても格好良くて、私の行動でも世界に繋げられるのではないかと感じること出来ました。些細なことだとしても、近場で買えるものは通販を使用しないということや、認証マークのついているものを買うといったことにも意識していきたいです。
山﨑舞(出山ゼミ2年生)
今回の講義を聞いてみて、SDGsについてちゃんとした内容を聞いたのは初めてだったので、とても勉強になりました。環境の問題だけではなく、社会的な問題などもSDGsとしての課題の中にあるということで、環境問題だけの問題ではなく、世界で行われている様々な問題が関わってくるものだと思いました。食糧の廃棄についての問題や、外国の子供の労働環境についても日本とは全く違った環境で育つことが普通になってしまっている状況を少しでも改善できるようにするためにも一人一人の意識を高めていくことが必要だと感じました。偏った情報だけではなく、様々な視点からの情報を自ら取り入れていき、自分の価値観や情報量、知識を増やしていこうと思います。
4.最後に
今回のオンライン研究視察を通じて、SDGsの体系的な理解と、最先端の事例を知ることができました。SDGsは、17のゴール、169のターゲット、232の指標(インジケーター)に分類され、この講義だけではすべてを理解することができませんが、学生たちにとっては学びのとっかかりになったのではないかと思います。
今回の講義では、SDGsを学んでいくためのキーポイントがいくつも織り交ぜてありました。2つほど紹介します。1つは、SDGsの考え方は「つながっている世界」を前提としていることです。日常生活の身近な事例として、チョコレートを買う時の話がありました。私たちがチョコレートを買う時、もしかするとサプライチェーン上のどこかで児童労働や環境破壊に加担しているおそれがあります。「この商品はなぜこんなに安いのか」、「この商品はどのようなルートでここまで来たのか」など、普段の買い物でも「つながっている世界」を意識することが重要となります。買い物にとどまらず、私たちが「つながっている世界」でSDGsに取り組んでいくためには、複雑に相互依存関係にある暮らしやビジネス社会を理解するシステム思考が求められます。仮に、SDGsとして1つの分野に取り組んだことが、別の分野の持続可能性を阻害することになるかもしれないからです。トベネックの桶の例にもあったように、SDGsはシステム思考で全体のバランスを意識しながら取り組んでいく必要があります。
もう1つは、「何を測るのか」ということです。SDGsは、ハードローではないため、自主的な取り組みの形で進んでいきます。その時に推進力となるが「測る」という行為です。質疑の時間に学生からも質問がありましたが、持続可能性に関しては「測る」ことは難しいことです。しかしながら、これまで測ってこなかったことを測っていくことの意義は大きいものがあります。新しい目標があったとしても、それが測定の対象外であれば無視されてしまうという指摘があります。私たちの意思決定や行動は、想像以上に「測る」という行為によって大きく影響を受けています。会計学では、測ることができれば改善できるという考えがあります。SDGsは、持続可能性の多岐にわたる分野を測ることによって、これまで測ってこなかった問題を明らかにし、問題解決へのイノベーションを生み出していくための物差しになります。
現在、世界はSDGsのもとで持続可能性に向けて変容しつつあります。既に持続可能な社会に寄与する新しいビジネスの芽も育ち始めています。SDGsでは、2030年という時間が設定されています。今回の講義は、この時間制限がある中で、持続可能性の問題にどのように関わっていければいいのかを考えることになった時間となりました。改めて、難波様には、今回のオンライン研究視察においてご講義とご対応いただき、篤く御礼を申し上げます。
以上
(編集:経営学部出山実)