去る平成26年7月、宮崎産業経営大学と日向のへべす消費拡大プロジェクト会議との間で業務委託契約が結ばれ、「へべす」という日向市特産品の消費拡大・普及に向けた事業を共同で実施してきました。平成27年2月27日(金)、経営学部の学生4名(参加者は教員2名を含め9名)が今回の取り組みの研究成果を日向市中央公民館で報告しました。
「農業の6次産業化へ向けた消費者ニーズの把握と戦略~日向市特産品へべすを事例に~」というタイトルの下、初めに本研究の問題意識を明らかにした上で、日向市特産品「へべす」の消費拡大に向け、消費者側のニーズをマーケティング手法であるコンジョイント分析によって明らかにしました。
コンジョイント質問の作成、500人によるアンケート調査、得られたデータの加工、及び、ロジット分析の結果から、消費者がへべすサワーを購入する際、お店に生産者の顔写真や連絡先などの分かり易い情報がある場合は、ない場合と比べて最大47円、多く支払っても良い、有機栽培・無(減)農薬栽培の表示に対しては、ない場合と比べて最大43円、多く支払っても良い、お酒の出し方に関しては、自分でしぼる(生しぼりの)方が最大31円、多く支払っても良い、サワーへのトッピングに関して、ゆず・レモンと比べてへべすに最大29円、多く支払っても良い、など消費者がお酒を注文する際、無意識に何を重視しているかを(金額で)明らかにしました。
発表した学生の感想(経営学部3年 松尾知美)として、先行研究の調査、コンジョイント質問の作成、及び、最尤法による推定(ロジットモデルによる計量分析)など、最終的な推定結果が出るまでたいへん苦労したが、サブゼミを通じた勉強の成果を生かすことが出来た、と述べています。
(研究発表、及び、参加者からの質問に答える学生)
(本研究の主要な結果と参加者からの質問の様子)
また、学生の報告が終わった後、40分ほど活発な議論が行われ、コンジョイント質問の妥当性(特に、プレテストの必要性、価格の水準など)、属性による詳細な分析の必要性(共分散構造分析、潜在クラスモデルなど)、統計的に有意ではない属性の解釈など、今後の研究につながる貴重なコメントをたくさん頂きました。発表者である学生のコメント(経営学部2年 河野孝朋)として、今回の経験を生かし、来年度はさらに深く「研究したい」と述べています。学生が引き続き地域農政の実務支援、及び、調査研究を進めていくことを期待しています。
文責 経営学部 墨昌芳