去る平成24年8月9日(木)、法学部「井上ゼミ」と経営学部「柚原ゼミ」は、両ゼミ総勢19名参加による「福岡証券取引所」(福岡市中央区天神)への研究視察を行ってきました。
これまでも両ゼミでは、それぞれの研究テーマである「商法・会社法」(井上ゼミ)や「経営組織論・経営戦略論」(柚原ゼミ)の視点から、様々な企業や公共機関等への研究視察を企画し実施してきました。
今回は、このような両ゼミ活動の一環として「福岡証券取引所」のご理解とご協力を得て、研究視察が実現いたしました。両ゼミでは、この研究視察に向けて十分な事前学習と準備を行ってきたことは言うまでもありません。
下記に「福岡証券取引所」への研究視察に関して1.日時・会場、2.ご挨拶者、3.研究視察の内容、4.写真集、5.参加した感想、6.井上先生による研究視察の総括をご紹介いたします。
1.日時・会場
○研究視察日時: 平成24年8月9日(木)13:30~15:10
○会場:「福岡証券取引所」(福岡証券ビル)3Fセミナー会場
2.ご挨拶者
総務部/部長・太田明邦様、調査役・松家啓介様、営業部/調査役・牛島亮太様、外国株式上場推進室/調査役・古賀隆太様
3.研究視察の内容
(1)証券取引所の業務運営について(講師/牛島亮太様)
(2)株式上場(IPO; Initial Public Offering)とは何か(講師/牛島亮太様)
(3)日本のマーケット(講師/牛島亮太様)
(4)Q-Board(福岡証券取引所の新興株式市場)について(講師/牛島亮太様)
(5)福岡証券取引所について(講師/牛島亮太様)
(6)証券界のトピック(講師/牛島亮太様)
(7)外国株券等上場制度の導入とアジア企業上場実現に向けた取組み(講師/古
賀隆太様)
(8)その他(質疑)
4.写真集
写真1: 朝の集合時間、宮交シティーでバスを待つ井上先生とゼミ生たちです。
何となく待ちに待った遠足にでも行くようなとっても楽しそうな表情です!
写真2: 福岡証券取引所では、講演前半をご担当された講師の牛島亮太様(右)、講演後半をご担当された講師の古賀隆太様(左)。非常に明快で分かり易いご説明でした。
講演後、講師の牛島亮太様からは『ぜひ、将来この学生たちの中からIPOを目指すような優れた経営者を育ててください。』とのご要望がありました。いつの日か本学の卒業生から上場企業の経営者が輩出されることを期待しております。
学生諸君、今はしっかり基礎学力をつけることです。でっかい夢と希望を胸に頑張れ!
写真3: 皆さん真剣な表情で講師の説明を聞いています。ちょっと緊張気味かな?
写真4: 学生たちは、「IPO」「新興株式市場」「Q-Board」「ベンチャー企業」「外国株等の上場制度」「上場審査基準(形式基準、実質基準)」等々、初めて聞く講師の説明とその世界に少々困惑の様子でした。
『みんな理解できるかなぁ … 』、井上先生の心配そうな表情が印象的でした。
学生たちは、いつの間にか直接金融のエキサイティングな世界に引き込まれていました!
写真5: セミナー室の後方から見ても整然として真剣に聞き入っています。
皆さんとっても立派な態度でした。
写真6: 講演後、ゼミ生を代表して質問に立った法学部4年生の池山幸宏君。さすが就職がすでに内定している4年生、余裕の表情です。
スーツ姿がとってもステキ!
写真7: 研究視察が無事終わってホットしている井上先生とゼミ生たち(福岡証券取引所前の喫茶店にて)。柚原先生もホットしておりますが、カメラマンとして撮影担当のため残念ながら(?)写っておりません。
お茶代は、もちろん井上先生と柚原先生もちです。『ご馳走さまで~す!』
写真8: 研究視察後の法学部3年生の川島朋大君と岩切淳樹君。満足感と充実感の表情? ちっと疲れた印象ですね!
5.参加した感想
〔法学部2年生〕
今回、福岡証券取引所の方から、普段は聞くことが出来ないお話を直接聞くことが出来て大変満足しております。株式について、事前にゼミ等で学んだつもりではいたのですが、やはり専門用語が出てくると難しく感じることが多く、まだまだ勉強不足であることを痛感しました。また、株式と海外との関係などについても興味が湧いたので、これから株式について少しずつ学んでいきたいと思います。このゼミ研究視察に参加することで、有意義な時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました。(岩倉麻衣さん)
合同ゼミでは、良い経験が出来たと思っています。また、先輩方と交流できたり、合同ゼミだったりと楽しかったです。バスの中では、お菓子などもご馳走になりました。このような機会がある時は、全員で行けるといいなと思います。福岡証券取引所に行くというゼミの試みに参加できて、よかったです。 (立光真菜実さん)
〔法学部3年生〕
今まで、証券取引所についてわからないことが沢山あり、興味を持てなかったのですが、今回の講義で証券取引所の仕組みや構成などのさまざまな知識を得ることができ、興味が持てるようになりました。ここで得たことが役立てられるように学んでいきたいと思います。(岩切淳樹君)
福岡証券取引所の方の話を聞いて、その仕組みを実感することが出来ました。また、はじめてIPOの事を聞くなど、色々と勉強になりました。(岡田和樹君)
福岡証券取引所では、想像していたものとは違う緊張感がありました。株式上場の話を聞いて、九州を中心に、いかにこれから成長しそうな中小・ベンチャー企業を上場させていくかということが大事であり、宮崎からもQ-Boardに上場できるような新興企業がでてくればと思いました。(椎葉圭次郎君)
今回の福岡証券取引所での話を聞いて、内容は難しい部分もありましたが、証券取引所の仕組みなどについて理解することができました。特に理解しにくかったQ-Board、ジャスダック、アンビシャスといったことについても細かいところまで説明していただき、非常にためになったと思います。今回のことは経験できることではないので、これからの就職活動に少しでも役立てられるように努力していきたいと思います。(川島朋大君)
福岡証券取引所では、貴重な経験をさせてもらいました。ゼミでの事前調査で分からなかったところなどを知ることが出来ましたが、もっと社会について勉強しないといけないと感じました。これをいい機会にしたいと思います。(石川大貴君)
〔法学部4年生〕
説明の中で一番関心を抱いたのは、上場の本質的意味のところでした。プライベートカンパニーからパブリックカンパニーへの質的転換の説明は、株式会社をめぐる利害関係者とリンクしました。説明を聞いて証券取引所と会社法との関連性を感じることができ、会社法のゼミに所属して良かったです。また、リーマンショックや欧州債務危機に関して、証券取引所で働く社員としての感想や、システムの不具合による影響などを質問させていただき、卒論でも、この経験を活かしていきたいと思います。(池山幸宏君)
福岡証券取引所でのセミナーを受けて、普段の講義では受けることのできないお話を聞くことができました。私は、卒業論文で資金調達について書こうと考えていたので、この経験も生かしてまとめていきたいと思います。 (渡部真理奈さん)
〔経営学部2年生〕
片道4時間以上バスに揺られ初めての福岡入り。新しく生まれ変わった博多駅の大きさに圧倒されつつ、福岡証券取引所へ。日本の法律・会計などの知識が前提で、さらに英語力を身に付けることがグローバル化に対応出来得る人材となると聞いて、大学での勉学にさらにやる気が湧いてきました。大変貴重な時間となりました。(山崎納津美さん)
今回福岡証券取引所を訪問することができて、とてもよい経験になったと思います。移動手段がみんなでバスに乗って行ったため、他のゼミの人とも交流ができましたし、他の引率の先生の話を聞くこともできました。また、先輩とも一緒に参加したため、福岡証券取引所での先輩方の対応や質問など、とてもためになるものでした。それに自由行動の時間もあるので、福岡の街を楽しむこともでき、とても充実したものだったと思います。(甲斐美帆さん)
〔経営学部3年生〕
今回福岡証券取引所へ行き、講師の二人の方々からお話を伺いました。講義とは違う雰囲気で、とても緊張しました。実際に現地へ足を運んだ甲斐がありました。最後に、本研究視察を企画して頂いた柚原先生と井上先生に感謝したいと思います。(尾田章太郎君)
6.井上先生による研究視察の総括
今回の研究視察は、「商法・会社法」(井上ゼミ)と「経営組織論・経営戦略論」(柚原ゼミ) という隣接する研究テーマを持ったゼミ同士での実施となりました。視察した証券取引所の業務は、言うまでもなく、株式公開(株式上場)です。これについて経営学の視点からは、機動的資金調達手段の多様化、企業知名度や相対的信用度の向上、事業展開の円滑化、優秀な人材の確保など、ヒト・モノ・カネ・情報という、いわゆる経営4資源の獲得による企業の成長・発展がテーマとなります。
また商法・会社法等の企業法学の視点からは、市場運営業務の法的理解(商法における問屋としての証券会社、金融商品取引法における証券取引所の役割)、企業情報の開示(ディスクロージャー)をはじめとして、市場売却による既存株主の投下資本回収、内部統制システム、環境・社会的責任などの問題、さらには市場の厳しい評価による事業改革としての合併や買収などの組織再編がテーマとなります。
今回の研究視察に関連した法改正として、法務大臣の諮問機関である法制審議会の会社法制部会では、コーポレートガバナンス(企業統治)の強化に向けた会社法改正の要綱案を決定しました。焦点となっていた大企業などに対する社外取締役選任の義務付けは見送りとなりましたが、代替案として、上場企業には1人以上の社外取締役を置く内容を証券取引所の上場規則に盛り込むことを求める付帯決議を提出しました。しかし証券取引所では、上場規則で社外取締役選任をルール化する考えに関して否定的な見解を示しており、その動向が注目されています。
このように上場会社法制については、経営学と法律学に関わる問題を包含していますので、今回参加された学生の皆さんは、福岡証券取引所の研究視察について、今後のゼミでの研究、さらには就職活動に是非役立てていただきたいと思います。
以上
(編集 経営学部/柚原知明)