宮崎産業経営大学



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池上和文

近影

 

プロフィール

宮崎県出身。明治大学法学部、明治大学大学院法学研究科修了。30年間の公立学校教員生活を経て大学に職を転じ、2014年4月から現職。高等学校教諭、県教育委員会指導主事、教頭・校長の経験をベースに教員養成教育に取り組んでいます。「経験知」の継承がモットー。趣味はウォーキングとガーデニング。

 

担当科目

日本憲政史、社会科・公民科教育法、教育原理、学校経営学、生徒指導論

 

学生へのメッセージ

21世紀も14年目に入り「知識基盤社会」と規定される現実社会は日ごとに目覚ましい変化を見せています。大学卒業後はそれぞれにこの厳しい社会の一角に身を置かねばなりません。その意味で大学時代をいかに過ごすかは今後の人生を大きく決定することに繋がるといえます。戦後日本人の忘れ物として、①宗教心、②道徳、③歴史が指摘されて久しくなりますが、この現象は若年層になるほど顕著なように思われます。私たちの生きる社会は私たちだけのものではありません。過去から継承されたものであり未来へと引き継いでいかねばならないものです。先人の叡智に深く学んで人間としての豊かさを養い自己の使命を自覚すること、それが大学生活の課題といえます。日々ベストを尽くしての健闘を期待しています。

 

その他(顧問等)

柔道部部長

 

 

中村勘三郎はアスリート?

 歌舞伎界の至宝であった中村勘三郎が亡くなった時、ある作家が、彼の足の筋肉はアスリート並に硬かったと回顧談で述べていたのを鮮明に記憶しています。この話を聞いて、私は、勘三郎のあの迫真の演技の淵源を見た思いがしました。歌舞伎の基礎は踊りにあるといわれます。先代勘三郎が息子勘九郎(当時)に対していかに厳しい稽古を強いたかはよく知られていますが、一方でその稽古にいかに耐え抜いたかを物語るのが勘三郎の足の筋肉であったということでしょう。 「天才とは1%の霊感と99%の努力である」とは、発明王エジソンの言葉としてあまりにも有名ですが、歌舞伎の世界においても決して例外ではなく、天才とまで言われる芸域に達するにはそれなりのひたむきな努力があったということを物語るエピソードです。

 

「守・破・離」は教育の方法

 この話はまた教育の要諦を示す絶好の例ではないでしょうか。教育の淵源も尚志努力と継承にあります。教育の使命は、努力することの意味と方法を具体的に教えることであるといえます。そこで忘れてはならないのが先人の「経験知」です。  古来、我が国の伝統文化である武道、芸道等においては、その奥義を極める道として「守・破・離」という言葉が語り継がれてきました。一般的には、「守」とは師の教えを忠実に守る段階、「破」とは自分なりに工夫してみる段階、「離」とは自分独自のやり方をも模索する段階と説明されます。最近では、学校教育においても、「守」が「習得」の段階、「破」が「活用」の段階、「離」が「探究」の段階と説明され、教育方法論として注目されるようになってきています。  勘三郎もまさに「守・破・離」の3段階を経て、不易のなかに流行を取り込んで自分なりの新しい歌舞伎の世界を構築したのです。アスリート並の足の筋肉が物語るように、いずれの段階でもそのプロセスを支えていたのはわれわれの想像を絶するほどの努力であったに違いありません。

 

先人の叡智に学ぶ

 何事も努力なしには成就しません。努力しても結果は必ずしも成功裡に終わらないかもしれません。しかし人は、自分を信じて努力する過程の中で、人生の機微を初め、生きてく上での多くを学ぶものなのです。故に教育は、惰弱を廃し、努力することの尊さを教えなければなりません。  遺憾ながら、現在我が国は国民としてのアイデンティティが極めて希薄です。原因の一つは自信と誇りをもてるような歴史観が共有されていないことにあると言えますが、前述した「守・破・離」という考え方が示すように、先人たちが掛け替えのない一生を通じて蓄積した「経験知」は、我々の行く手を照らす「叡智」として継承されねばならないと思います。
(以上「明治大学教育会紀要 第5号」より抜粋し加筆修正のうえ転載。)

 

不易と流行

 私は現在、日本教育学会及び九州法学会に所属し、明治大学を母校とする現職教師と退職教師、そして教職を志す現役学生で構成する明治大学教育会の副会長として大学の教職課程に関する情報を交換しながら教員養成に努めています。将来は宮崎産業経営大学にも同様の組織が結成され、教育に関する不易と流行について議論し、継承していくべき「経験知」について検証できる場が設定されることを強く望んでいます。勿論、実現に向けて自分なりに相応の努力をしたいと思っています。
高校生のみなさん、宮崎産業経営大学で共に教職への道を目ざしましょう。
皆さんの入学を心から期待しています。

 

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